太宰治の小説に登場する百日紅(サルスベリ)

公開日 2025年09月11日

暑い中足早に歩いていると、街路樹の鮮やかなピンク色にハッとさせられました。
百日紅(サルスベリ)の花です。日差しに負けず咲き誇る姿を見ると、なぜだか秋の気配を感じます。

井口はるかぜ児童遊園(三鷹市井口)


武蔵境通り

濃いピンク、淡いピンク、赤、白、紫など種類によって様々な色合いがある百日紅。
名前の由来は7月から10月にかけて長い間咲き続けるからだそうです。
また、木登りが上手な猿でも滑り落ちるほど樹皮が滑らかという例えからサルスベリと名付けられています。

三鷹駅から徒歩15分ほどの場所にある純和風文化施設「みたか井心亭(せいしんてい)」には、
太宰治の家から移植された百日紅の木があります。
みたか井心亭
太宰治の小説「おさん」に登場人物の夫婦が百日紅について会話する一節があります。

……炎天つづきの東京にめずらしくその日、俄雨があり、夫は、リュックを背負い靴をはいて、
玄関の式台に腰をおろし、とてもいらいらしているように顔をしかめながら、雨のやむのを待ち、ふいと一言、
「さるすべりは、これは、一年置きに咲くものかしら。」
 と呟きました。
 玄関の前の百日紅は、ことしは花が咲きませんでした。
「そうなんでしょうね。」
 私もぼんやり答えました。
 それが、夫と交した最後の夫婦らしい親しい会話でございました。

みたか井心亭の前面道路から見ることができるので、お近くを通りがかったらご覧になってみてください♪
以上、市民記者のフジがお届けしました。

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