公開日 2024年10月25日
はじめまして。市民記者のハルと申します。
今回が最初の投稿ということで、知る人ぞ知る古本カフェ「フォスフォレッセンス」へ取材に行ってきました。
三鷹図書館本館のすぐそばにあるレンガ造りのビル。
その1階にある古本カフェが、こちら「フォスフォレッセンス」。愛称は「フォス」であります。
外から見ても、たくさんの本が並んでいることがわかります。
カフェの中心に配置されているこちらの棚には、文豪・太宰治の作品が贅沢にずらり。
外に貼ってあった太宰治の大きなポスターからも、店主の太宰愛が伝わってきますね。
こちらの棚以外にも、日本の近代文学作家の作品を中心に、これ以上の蔵書は無理なのでは? と思うほどのたくさんの古本が所狭しと並んでいました。
大小さまざまな装丁の老齢の本たちが、可愛らしいカフェの中でお互いに敬意を払って和やかに暮らす様子に、何だかほっこりします。
席は入ってすぐの窓側に3席、奥の本棚に隠れた横並びの2席。
春には窓の向こうの木々が桜の花を満開に咲かせて、とても綺麗に見えるのだそうです。
奥の座席の周りにはたくさんの古書が積まれていて、外の景色が見える窓側の席とはまた違った、沈思黙考、内省的な空間が広がっています。
カウンターに可愛らしく鎮座するクッキーも発見。
こちらのビル2階に事務所を置く「NPO法人子育てコンビニ」さんとのコラボ商品です。
早速お土産にひとつ購入。
取材した日は少し肌寒かったので、ホットの紅茶とワッフルも注文。
先ほどの太宰の棚の中から、一冊を手に取って、読書しながら待つことにしました。
なんて贅沢な時間なんでしょう。
20年ぶりに「走れメロス」を読み耽っていたら、あったかい紅茶と、さっくり焼けたワッフルが運ばれてきました。
添えられたクリームとの相性も抜群で、美味しい。
ワッフルを食べながらどんどんページを捲っていると、ボーン、という懐かしい音が。
今ではあまりお目にかかれない、柱時計が半刻を知らせる音です。
せっかくなので、16時の分も聞いていくことにしました。
「フォスフォレッセンス」という店名は、太宰治の短編小説のタイトルにあやかって、太宰ファンの店主が名付けたそうです。
本来の言葉の意味(Phosphorescence)とは、ギリシャ語で、燐光(りんこう)、リンが空気中で酸化したときの青白い光のこと。
太宰は作中で、それを「花の名前」として使いました。
素敵な由来ですね。
カフェの名前を耳にしたとき、その言葉の意味を知っている人にだけ伝わる世界があって、名前を付けた店主の思い、そしてその作品を読んだ当時に抱いた感情が、そのカフェの名前の由来に気づいたときに一気に胸に押し寄せてくるのを想像すると、とってもお洒落で素敵です。
存じ上げなかったことが、たまらなく口惜しい。笑
ちなみに店舗のビルの名前も、「ロマネスク」ビル。こちらも太宰の作品タイトルから取ったそうです。
「フォス」が2002年の2月にオープンしてから今年で22年。
これまで幾多の存続の危機がありながらも、不思議と手を差し伸べて下さる方が現れ……まるで、太宰さんが守ってくれているようだと言われたこともあったとか。
普段子育てに追われている自分は、気づけばスマホと睨めっこしながら情報収集してばかり。こうしてじっくりと名著と向き合う時間が持てたことは、とても尊い記憶になりました。
お店の歴史をもっとディープに知りたい!という方は、是非こちらの本を。
店主の駄場みゆき氏自ら筆を執ったフォスフォレッセンス開業の物語です。
太宰治をめぐる数奇な出会いと、それを紡ぐ著者の豊かな感受性、文才に圧倒されます。
2024年10月現在、店頭または通販でも購入可能です。
初めての取材で、とっても素敵なお店を記事にすることができました。
「フォス」店主の駄場さん、ご協力ありがとうございます。
この調子で、これからの取材もがんばります!
記者:ハル
古本カフェ「フォスフォレッセンス」
所在地 | 東京都三鷹市上連雀8-4-1 ロマネスクビル1階 |
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電話 | 0422-46-1004 |
営業時間 | 13:00~19:00(火・水は店休日) |
HP | http://dazaibookcafe.com |
X(旧Twitter) | http://twitter.com/phos_bookcafe |
※支払いは現金のみ対応。