公開日 2024年06月19日
太宰治は、1939(昭和14)年9月から1948(昭和23)年6月まで三鷹で暮らし、「走れメロス」「斜陽」「人間失格」など、多数の名作を執筆しました。
玉川上水に入水(じゅすい)した太宰治。実際の命日は6月13日ですが、遺体が発見された6月19日は奇しくも太宰の誕生日でもあったことから、「桜桃忌(おうとうき)」と名づけられ偲ぶ日となりました。
「桜桃」とはさくらんぼのことで、太宰治の好きな食べ物だったのだそう。
太宰の作品には武蔵野・三鷹の風景が度々登場します。
「四月なかば、ひるごろの事である。頭を挙げて見ると、玉川上水は深くゆるゆると流れて、
両岸の桜は、もう葉桜になっていて真青に茂り合い、青い枝葉が両側から覆いかぶさり、
青葉のトンネルのようである。ひっそりしている。」
―小説「乞食学生」より―
▲みたかナビHPより
今では想像できませんが、当時の玉川上水は水量が多く、岸は水流でえぐられて落ちると
這い上がるのは難しく「人喰い川」と呼ばれていたそうです。
▼こちらは太宰が「ちょっといい所がある」と友人らを案内したと伝えられている三鷹こ線人道橋。三鷹駅が開業する一年前の1929(昭和4)年に作られました。設置から90年以上経ち老朽化が進んでしまったため、惜しまれつつも、昨年、役目を終えることが決定しました。
階段は登れないようになっていますが、当時の姿を見ることができました。(2024年6月現在)
三鷹まるごと博物館のHPでは記録保存のために撮影された動画の一部が公開されています。
三鷹こ線人道橋(三鷹まるごと博物館)
【おすすめ】太宰治の足跡を辿る定例ガイド
毎月第4日曜日に、市民ボランティア団体「みたか観光ガイド協会」が「定例ガイド」を開催し、三鷹駅周辺の太宰治ゆかりの地を紹介しています。太宰治文学サロン、玉鹿石(ぎょっかせき)などを歩いて回ります。
予約不要、参加費無料。7月~8月、12月~2月はお休みしますが、それ以外の月は雨天でも開催するそうですよ。詳しくは、みたか観光ガイド協会HPをご覧ください。
みたか観光ガイド協会は、2024年6月25日に活動開始25年を迎えたそうです。おめでとうございます!
【小説の公募新人賞】太宰治賞
筑摩書房と三鷹市は「太宰治賞」を共同主催しています。同賞は、筑摩書房が創設した小説の公募新人賞で、1978(昭和53)年を最後に中断していましたが、三鷹市が太宰治の没後50年を機に、筑摩書房に呼びかけ復活しました。
第40回となる今年の受賞作は、市街地ギャオさんによる「メメントラブドール」です。贈呈式の様子は、三鷹市HP「第40回太宰治賞贈呈式を行いました」で紹介されています。
最終選考会が行われる「みたか井心亭(せいしんてい)」も太宰治にゆかりのある場所。旧宅にあった百日紅(さるすべり)が移植され、毎年7月にはピンクの花を咲かせます。今年も楽しみですね。
今も読者を惹きつけてやまない太宰治。
休日に三鷹市で文豪の足跡を辿ってみるのはいかがでしょうか。
以上、市民記者フジがお届けしました。